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サンシャイン2057

Photo_7  先日、TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われたジャパン・プレミアを見て来た。今、現実世界では地球温暖化の危機が叫ばれている。ところが本作は、太陽の寿命が尽きようとすることが原因で寒冷化の危機にある50年後の地球、という設定である。地上の全てが凍てつく地球の危機を救うべく、世界中の核物質を掻き集めて製造されたNYマンハッタン島大の巨大な核爆弾を太陽に投下するミッションを負って、太陽へと向う科学者らを中心とした8人のクルー。閉ざされた宇宙船内で彼らの身に何が起きるのか、彼らは果たしてミッションを無事遂行し太陽を蘇生できるのか…

 もちろん、『トレイン・スポッティング』『28日後』を手掛けたダニー・ボイル監督のことである。一筋縄では行かないことを予感させる。大胆な着想で、また驚かせてくれるのではと期待大で開演を心待ちにした。開始早々に映し出された壮大なスケールの宇宙空間。弥が上にも心臓の鼓動が高鳴る。かつての天文学少女は、それだけで作品世界に引き込まれた。

 見終わっての印象を言うと、ツッコミどころ満載の映画であった(笑)。ネタバレになるから詳細は述べないが、矛盾点は多々あったように思う。例えば最初の任務の遂行においては、指揮系統のセオリーから言っても、ミッション遂行の優先順位という点でも、担当者の人選には大いに疑問の残るところであった。また監督は世界において将来アジアが大きな役割を担うとしてクルーの半数はアジア系を採用しているが、それでもクルーの中に黒人の姿がないのは腑に落ちないし、結局白人がヒーローで、それ以外の人種は白人を支える役回りでしかないと言う点も、昨年の『ポセイドン・アドベンチャー』を見た時と同様に感じたことである。所詮ハリウッド映画→訂正:英国フィルム・カウンシル提供でした(^_^;)。真田広之のインタビュー記事を見ると、ハリウッド資本のMade in U.K.?)白人発の映画ということなのだろうか(しかし、最近のロンドンは、庶民の利用する地下鉄なんて、英語よりそれ以外の言語の方が多く聞こえて来るぞ。ここ10年の多国籍化は凄い。場所によっては非白人の方が多いくらいだ。そんな状況だからこそなおのこと白人且つ英語圏の人間の存在感を誇示したいのかな)

 映像美は期待通りの素晴らしさだった。しかし既視感はある。過去の作品の影響は否めず、それらを超えたとも思えない(実際、過去の名作・傑作を超えるのは今をときめく監督を以てしても至難の業だよね)。また開演前の真田広之、キリアン・マーフィの舞台挨拶でも言及されたように、50年後の(船外活動用の)宇宙服にはビックリである。古代の土偶かと思った(笑)。もっとも40年近く前に人間は月面着陸したはずなのに、その後の宇宙開発は殆ど進展が見られていないのだから、今後50年を経ても大した進展はないのかもしれない。演出という点では、閉ざされた船内で追い詰められるクルーの焦燥感、恐怖感の描写は、ダニー・ボイル監督の真骨頂と言えるだろうか?あたかも自分自身がその船内にいるかのような錯覚に陥って、思わずイスから飛び上がったり、背筋が寒くなることもあった。「ポップコーンをしっかり抱えてね」と言う、舞台挨拶の最後のキリアン・マーフィのメッセージに納得である。

 さて、雄大な宇宙の前に人間は改めて自らの存在の些末さを自覚し謙虚になって、太陽の滅びと言う「自然の摂理への抵抗」を「神に対する冒涜」と感じるものなのだろうか?「人間の作為」と「自然の摂理」とのせめぎ合い。これは現代の人間世界が抱える問題でもある。例えば、生殖医療など、その最たるものだろう。しばしば「神」を口にする本作の登場人物の姿に、昔読んだ立花隆の『宇宙からの帰還』で取り上げられた宇宙飛行士らのエピソードが思い出された。

―人間は宇宙で神に出会うのだろうか?それとも…

【追記】
 今回はジャパン・プレミアで真田広之キリアン・マーフィが舞台挨拶に登場すると聞いて、それも大きな楽しみのひとつだった。私は友人と二人VIP席のすぐ後ろに陣取って、彼らの登場を今か今かと待ち構えた。約600人の入場者の場内案内に手間取って予定より遅れた舞台挨拶(どうにかならないのか?非効率的な誘導方法!)。
 まず、司会進行のリリコが登場。その後真打ちの二人が登場。凜とした佇まいの真田広之とカジュアルな雰囲気のキリアン・マーフィ。キリアンの傍らにピタリと寄り添うのは字幕翻訳家の戸田奈津子。意外に小柄なキリアン。真田広之と殆ど同じ背格好である。遠目にはあの瑠璃色の瞳の輝きが判然としない。残念!
 今年、米アカデミー賞のプレゼンターを務めた渡辺謙の華々しさの陰に隠れがちな我らが真田広之!まだ世界は彼の魅力の半分も知らないでいるのだと思う。常々日本の俳優のスピーチ下手には閉口しているが、今回の真田広之の舞台挨拶は堂々としたもので、時にはユーモアも交えながら過不足なく映画の魅力を伝えて見事だった。
 彼は5歳で子役としてデビュー。その後一時中断したものの、中学時代には既に世界を見据えて、毎日3時間、アクション、空手、日舞、芝居、ジャズダンスを日替わりでこなし、日曜日は2~3本立てで映画を見ていたと言う。「ラスト・サムライ」でも、描かれるサムライがよりリアルな日本人像に近付けるよう積極的に監督にアピールした話は有名。
 渡辺謙に続き、彼がブレイクする日が近いことを祈りたい。その意味では今回の『サンシャイン2057』のカネダ船長役は思ったより出番が少なく、いささか不満が残る。彼自身はそんなことなど気にしていない様子。そこが真田広之らしいと言えば、らしい。今後も着実に実績を積み上げて、その存在感を世界に見せつけて欲しいと思う。

【追記2】
 プロットについて。SFサスペンス大作かと思いきや、突然スリラーへの転調。そう言えば、最近似たような転調を見た覚えがある。そう『デジャヴ』だ。本格推理サスペンスか超常ミステリーと思いきや、途中でSFになっていた。まあ『デジャヴ』はブラッカイマー制作だから分かるとして(笑)。そういう意味でも、本作は正統派A級よりB級テイストな作品だと思った。宇宙の映像が荘厳なだけに、プロットの荒っぽさ(緻密さに欠ける)が目立ってしょうがない(でも嫌いじゃないよ)


【作品データ】
提供:FOXサーチライト・ピクチャーズ/DNAフィルムズ 制作:アンドリュー・マクドナルド
脚本:アレックス・ガーランド 監督ダニー・ボイル 撮影:アルウィン・カックラーB.S.C
美術:マーク・ティルテスリー 編集:クリス・ギル 音楽:ジョン・マーフィ/アンダーワールド
出演:ローズ・バーン(SW EP2、ホワイト・ライズ、トロイ、マリー・アントワネット)
    クリフ・カーティス(トレーニング・デイ、クジラの島の少女、ニューオリンズ・トライアル)
    クリス・エヴァンス(セルラー、ファンタスティック・フォー)
    トロイ・ギャリティ(バンディッツ、ダイアモンド・イン・パラダイス、ジェーン・フォンダの息子)
    キリアン・マーフィ(28日後…、真珠の耳飾りの少女、プルートで朝食を、
    バットマン・ビギンズ、麦の穂をゆらす風、他多数)
    真田広之(柳生一族の陰謀、戦国自衛隊、ラストサムライ、上海の伯爵夫人、他多数
    ベネディクト・ウォン(堕天使のパスポート)
    ミシェル・ヨー(ポリス・ストーリー3、宋家の三姉妹、007/トゥモロー・ネバー・ダイ
    グリーン・デスティニー、SAYURI、他多数、元ミス・マレーシア、倍賞美津子似?)

【参考リンク】
■『サンシャイン2057』公式サイト:http://movies.foxjapan.com/sunshine2057/
■監修:ブライアン・コックスって何処かで聞いた名前だなと思ったら…:http://international.aol.co.jp/voices/briancox.html
■逆のケースもあったか…キリアン、無神論者に:http://ncr2.net/2007033594.php

■真田広之インタビュー:http://international.aol.co.jp/voices/hiroyukisanada.html
■全世界版と日本版とでは宣伝ポスターが違う?!見終わった後の違和感はこれだったのか?http://blogs.yahoo.co.jp/tkr_21/45551323.html
■ブログ内関連記事:http://hanakonokoukishin.cocolog-nifty.com/blog/2007/04/post_1cea.html

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映画(2007年)」カテゴリの記事

コメント

こんにちは! さっき、ケロロ見てきました☆
ですが、ものすごいことが起こりました・・・。
ポップコーンを買って、いすのひじかけにドリンクなどをおく所があるじゃないですか。あそこにポップコーンを置いたんです。
そうしたらうっかり手をすべらせてしまい、・・・全部落っことしてしまいました!!(泣
即妹と拾う! とにかく拾う! 3秒ルールだ、大丈夫、心配するな!!(笑
・・・結局3秒は越してしまったのですが(当たり前だ)、みんなでそれをつつきました。
にしてもはなこさん、試写会などにも行かれるんですか。。。
すごい! アタシは1回も行ったことがございませんので・・・。
行ってみたいなぁ、試写会。
あ、どうでもいいのですが最近見たい映画は「蟲師」って映画です♪ 面白そう。
そうえば、アタシの歳、気になりますか?(笑
よろしければお教えしますよ♪
では、長い文失礼しました☆

投稿: | 2007年4月 2日 (月) 14時11分

織ちゃんへ、了解しました。”糸”偏の織ちゃんなんですね。

私は新作映画を映画館や試写会で結構見ています(と言っても世の中にいるフリークの方には到底及ぶものではありませんが)。
私には高校生の息子がいまして、彼に「面白いから」と半ば強引に『DEATHNOTE』の原作全巻を読まされ(笑)、映画も正編・続編の両方を映画館で見ました。L役の松山ケンイチくんが気に入っています。彼の新作『神童』も見に行く予定。レッチリの曲も聴いていますよ(元々洋楽好きなもので。その昔、高校時代にはQUEENにハマっていました)。『DEATHNOTE』は原作は後半部分に失速感が否めず少しガッカリ。映画は映画なりに楽しめました。

9歳の妹さんがいらっしゃるとは、織ちゃんは私の息子とそれほど変わらないお年頃なのかな?それではまた♪

投稿: 管理人はなこ | 2007年4月 2日 (月) 09時13分

こんにちは、織です。
この間はブログにコメントしてくださり、ありがとうございました♪
先ほどのコメントで間違いがあったので修正させて頂きますね。
アタシの名前ですが、入力変換の間違いで、「識」となっておりましたが、正しくは「織」です。。
要するに糸へん、て事ですね(笑
すいませんでした・・・。
ところでアタシの好きな映画ですが、まだお子ちゃまでして・・・(汗
邦画が好きで、この間は「DEATHNOTE」見に行きました。
面白かったですよ! はなこさんも興味があればDVDなどで見てみてはどうでしょうか♪
明日は9歳の妹とその友達に連れられて「ケロロ軍曹」を見に行くことに(笑
・・・ここまで来ると、もうお子ちゃまやなんやの問題どころじゃありませんね。。。
長い文章になってすいませんでした!
また遊びに来ますね♪ では☆

投稿: | 2007年4月 1日 (日) 16時43分

識さん、初めまして♪訪ねて来てくださってありがとうございます。

このブログを開設以来、初めてのコメントです。嬉しいです!(意味不明のTBばかり入るので、ウンザリしていたところです)

識さんは、どんな映画がお好みですか?(別に詳しくなくたって良いのです。人それぞれですから)
お互い頑張って書き続けて行きましょう!

投稿: 管理人はなこ | 2007年4月 1日 (日) 07時59分

はなこさん、はじめまして。
識ともうします♪
ブログ始めたんですね☆
アタシもつい最近始めたばかりなのですが、お互い頑張って書き込みしていきましょうw
映画にはあまり詳しくないのですが、よろしければアタシのところのブログも見て行ってくださいね^^
では、失礼しました♪

投稿: | 2007年4月 1日 (日) 05時31分

この記事へのコメントは終了しました。

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